ICEM InBrief 2006年6月12日発行

CEP労組支部 、ストーラエンゾーが新たに提示した協約案を検討

ノヴァスコチア州ポートホウクスベリーにあるストーラエンゾ工場のカナダ通信エネルギー製紙労組 (CEP) 支部組合員はこの週末に会社側が提出した協約案を検討するために集会を開く予定だ。フィンランド/スウェーデン系の同社は、4日間の集中交渉の後、6月10日、CEP972支部に新協約案を提示した。5月30日、同社は、6月24日までに協約が妥結しない場合、600人の製紙労働者が働くこのコーティング紙・新聞用紙工場を閉鎖すると 通告している。ストーラは、カナダ東部の製紙産業パターン方式協約で認められている以上に作業・業務をアウトソーシングし、これまで以上のフレキシビリティーを確保したいと主張し、2006年1月26日からロックアウトを開始した。5月初めに再開した団体交渉で、会社側は14〜18%の賃金及びその他の手当の削減を含むリストラ案を提示した。今回提示された協約案には10%の賃金カットが含まれている。

6月10日に提示された協約案の詳細はCEP972支部の組合員が検討するまで公表されなかった。600人の製紙労働者のロックアウトは現在21週間目に入った。


フランスの労働組合、フランスガスとスエズの合併問題で6月20日にスト

フランスの3労組は、6月20日、国営フランスガス社とフランス/ベルギー系の水道及び電力会社スエズの合併問題から政府が手をひくことを求めて、共闘ストを行うことを決めた。CGT、FO及びCFE-CGCのエネルギー部会は、6月20日、作業停止と大規模なデモと集会を行う予定だ。イタリアのエネルギー会社エネル社が進めているスエズの敵対買収を阻止する目的でドミニック・ヴィルパン首相が提案し、政府が仲介して進められているこの合併案は、フランスガスの経営権は最低限70%を政府が所有することを規定した2004年制定の法律に違反することになる。720億ユーロ規模のスエズとの合併が実現した場合、政府所有の経営権は34%となってしまう。

フランスの国務大臣のニコラス・サルコジーが、先週、この合併案は議会及び政府幹部の支持を失いつつある、と述べたため、フランスの労働諸組織は後押しを得た形となった。1日ストとデモはこの合併案を可能にする法案について今週議会で審議される時に合わせて実施される。


ストーラエンゾ、ブラジルのアルクルズ.セルローズ、契約労働に依存過多

ICEM加盟組織のフィンランド製紙労組とフィンランド労働組合連帯センター (SASK)が委託した調査研究によると、ストーラエンゾとアルクルズ.セルローズが共同経営しているブラジルのパルプ工場は契約労働への依存度が高すぎることが判った。
この研究はブラジルのナショナルセンターCUTの外郭研究機関である社会問題研究所が6月7日に発表したもの。同研究所は、このジョイントベンチャーにはあまりにも多くの下請け業者が入っているために適正にモニターすることが出来ないと報告している。

工場はVeracel Florestal Ltdaという会社で、バイア州エウナポリスにある。この工場ではパルプ製造に使うユーカリの収穫に下請け業者を使っており、大規模な環境問題を起こしている。また、工場ではパルプ製造には正規労働者を雇用しているが、その他の部門の作業の大半は問題となっている下請け業者を使っている。その結果、賃金は全般的に低くなり、雇用条件も低下した。上述の研究報告は、この工場では安全衛生にも問題があり、工場の労働者及び地域住民共に化学物質に高いレベルでばくろしている、と指摘している。この工場は2005年に操業を開始し、年間90万トンのユーカリパルプを生産している。


IGBCEとドイツ化学産業経営者団体、家庭を重視した協約議定書を発表

ドイツのICEM加盟組織、 IGBCEと化学産業経営者団体、BAVCは6月12日、職場において家庭重視の政策を実施しようと共同声明を発表した。この種の合意はドイツでは初めて。

このイニシアチブは仕事と家庭間の適正なバランスの実現に向けたパイオニア的取り組みとなる。「この合意は仕事と家庭の両立に向けた大きな前進だ。」と IGBCEのエデルトラウト・グランザーは言う。彼女は、これからポジションペーパーには化学産業の職場において実施されるべき諸策を挿入する必要がある、と付け加えた。ドイツの家族問題担当長官のウルスラ・ヴォン・デルレイデンは調印式に出席し、「労働組合と使用者団体がこのような家庭重視の労務管理政策について宣言した事実が仕事と家庭のより良いバランスの決定的前提条件となる。」と述べた。


トリニダッド・トバゴ石油労組、協約交渉停止に抗議し、スト突入

トリニダッド・ドバゴの加盟組織、石油油田労組(OWTU)は先週、国営石油会社ペトロリンで再度ストを行使した。ストは暗礁に上がっている賃金交渉、安全衛生問題及び2人の従業員のレイオフに抗議して、6月5日と6日の二日間行われた。

5月11日、1日16万バレルの稼働能力を持つ石油精製所に働く従業員を除く、陸上及び沖合操業の事業所に働くOWTU組合員は昨年から停止状態にある協約交渉の再開を求めてストを行った。石油精製所に働く労働者たちは3年間協約改定を要求し、この3月に2回ストを実施した。先週の場合は、経営側が協約妥結に向けて誠実に交渉に臨むと誓約したため、組合側はストを停止した。しかし、OWTUは大きな前進が見られない場合、引き続き争議行為を実施すると警告した。OWTUは 2005年−2008年間の協約締結に向けて、意味ある対話が出来るよう、経営側との交渉に臨んでいる。


米国のタイヤ労働者2万7千人を適用対象とする協約交渉始まる

USWは今月、ミッシェランの北米子会社のBFグッドリッチと、また、6月14日からブリヂストン/ファイヤーストーンと交渉を開始する予定だ。これらの3企業はタイヤ産業では最も大規模な会社であり、米国のゴム産業のマスター協約となる。USWはグッドイヤ-で1万7千人、ブリヂストンで6千人、ミッシェランで4千人の労働者を組織している。

USW はこれら3社の中から1社をパターン方式協約交渉のターゲットとし、他社との交渉のモデルとしたいと考えている。現行の3年間協約は7月22日に発効期限が切れる。


米国のデュポン2工場で協約妥結

USWは最近、米国内にあるデュポン社の2つの化学工場で新たに協約を締結した。この別々の協約は長期間の交渉の後妥結し、過去数年間凍結されていた賃金の値上げも含まれている。ケンタッキー州ルイスビルにあるフッ素化合物を生産する工場には95人のUSW組合員が働いている。同工場の2年間協約は5月31日に妥結した。この工場の労働者たちは過去4年半の期間協約なしの状態で就労していた。協約では4%の即時賃上げと2006年9月からさらに3%の賃上げが合意された。

デラウェア州エッジモールにあるニ酸化チタニウム工場の3年協約では4%、3%、3%の賃上げが協約で合意された。この協約の適用対象となっている労働者は130人あまり。今回の協約には最低限の要員数が規定された。また、特定の医療保険給付金についての権利放棄の条文が削除された。両工場の交渉ではデュポンは医療保険給付金のカットを一方的に押し付けようとし、USWを公式団体交渉から外そうと試みるライバルの労組も経営側の譲渡を受け入れた。


ニューランド労組、90日の見習い期間法案に反対

ニュージーランドの労働組合は、使用者は採用から90日間に処罰なしに労働者を解雇できる法案に反対し、6月2日、毎週一回のピケの抗議運動を開始した。この反対運動を主導するのはICEM加盟組織のエンジニア印刷及び製造産業労組 (EPMU)。

6月2日、 EPMUは法案を提出したウェイン・マップのタカプナにある選挙事務所の前でピケを行った。この後、反対運動はオークランドや選抜したターゲット地区で実施される予定だ。また、6月21日にはウワンゲレイで大規模な集会 が、7月20日にはオークランドの議会前でデモ行進と集会が予定され、この雇用関係法改正案反対運動を盛り上がっていくことになっている。この法案が成立した場合、採用後90日間の労働者の苦情申し立て条項はすべて削除される。この法案は、マップが率いる国民党に他の4党が加わり、2006年3月15日に議会において賛成63票反対58票で最初の審議を通過した。政府と緑の党は労働組合とともにこの法案に反対している。


全米鉱山労組、 安全問題でブッシュ政権を追及

全米鉱山労組 (UMWA)は,現在、今年未組織炭坑で起きた労災事故に関連し、裁判闘争と法案改正運動を展開している。UMWAは6月8日、ブッシュ政権の鉱山安全衛生局 (MSHA)を連邦裁判所に告訴した。告訴状の争点はMSHAによる地下炭坑の緊急時に使用される酸素吸入器の抜き取り検査の実施とすること、炭坑労働者を対象にしたこの機器の使用についての訓練の実施の義務化だ。告訴の前日、米国下院は賛成381票、反対37票でこれまでよりも厳しい鉱山安全法を採択した。この法案で2時間分の酸素吸入装置の使用の義務化と3年以内に地下炭坑用の通信装置と追跡装置の設置を 炭坑会社に義務づけている。

また、石炭会社は死亡者が発生する可能性がある事故は発生後15分以内に報告し、すべての炭坑事業所内に救援隊を設置することが義務付けている。現在、事業所内に救援隊を設置しているのはUMWAが組織している炭坑のみである。この5月、米国の上院は、UMWAの強い支持を受け、この法案を採択した。現在、この法案が法律として成立するためにはブッシュ大統領が署名するだけの状態だ。米国で2006年に起きた炭鉱事故ですでに33名が亡くなっている。これらの死亡事故はすべて未組織炭坑で発生した。死亡原因の大半はガス爆発による一酸化中毒である。つまり、酸素吸入器の不具合と地下炭坑での不十分な酸素供給が死亡者を多数出した理由であることは明白だ。


トルコ炭坑事故、許せない政府・ビジネス関係者の発言

6月1日、トルコのウルサンベイある民営未組織のセンタス炭坑でメタンガス爆発が起き、坑内のシャフトが崩れ落ち、17人が死亡し、9人が重傷を負った。炭坑事故は毎日のように世界各地で起こっているが、この事故は特に留意する必要がある。それは、トルコの石炭産業関係者らやエネルギー天然資源大臣が「この種の事故は石炭産業ではよく起こる。」と発言したからだ。

他の諸国と同様、トルコでも炭坑や鉱物鉱山事業所が遠隔地に拡大しており、安全衛生リスクが高くなっている。特に、労働組合が基準の履行をモニターできない場合、危険性が高くなるのが実情だ。今回の事故と担当大臣及び石炭産業経営者団体による冷淡な発言に対して、ICEM加盟組織のトルコ炭坑労組は、トルコには炭坑の安全衛生を規定する法律はあるが、きちんと法規定の基準を履行していないため、多くの労災事故が起きている、と指摘した。「この労働組合がこの事業所内で組織されていたならば、安全基準は守られていた。労働組合がある炭坑では労災事故数が著しく少ない。」と同労組は言う。 ICEMは 6月1日、トルコ炭坑労組に宛てた書簡の中で、同労組のトルコ鉱業における安全衛生の取り組みについて絶対的支持を表明した。